「花札の恋」

あらすじ
高校一年生の**桜庭花音（さくらばかのん）**は、幼い頃に祖母と遊んだ百人一首の思い出を持ちながらも、今は特に熱中できるものがなく、どこか空虚な気持ちで高校生活を送っていた。

ある日、クラスメイトの橘陽葵（たちばなひまり）に誘われ、競技かるた部の見学に行くことに。そこで出会ったのは、冷静沈着で札にかける情熱が人一倍強い部長の篠宮葵（しのみやあおい）。彼女の圧倒的な速さと強さに驚かされた花音は、「こんな風に本気になれるものがあるって、すごい」と感じ、思わず入部を決意する。

最初は初心者として苦戦する花音だったが、百人一首の歌の意味を知るうちに、そこに込められた千年前の恋や別れの物語に共感し、次第にのめり込んでいく。幼なじみで剣道部のエース**藤崎奏汰（ふじさきかなた）とのすれ違いや、ライバル校の天才かるた少女黒崎玲奈（くろさきれな）**との対決を経て、花音は「札を取る」ことの意味を自分なりに見つけていく。

競技の勝敗だけでなく、「人とつながること」「誰かの想いを感じること」の大切さを学びながら、全国大会を目指す花音。百人一首が結ぶ、友情・恋愛・ライバル関係が絡み合う青春ストーリーが今、幕を開ける——！

登場人物紹介

🌸主人公

桜庭花音（さくらばかのん）

高校1年生／競技かるた部・初心者
明るく元気だが、今まで本気で打ち込めるものがなかった少女。
かるた部に入り、百人一首の奥深さに魅了されていく。
素早い反応と直感力に優れ、驚異的な成長を見せるが、精神面ではまだ未熟。
かるたの世界を通じて、自分の「好き」という気持ちを大切にするようになる。

🍃かるた部の仲間たち

篠宮葵（しのみやあおい）

高校2年生／競技かるた部・部長／A級選手
冷静沈着で無駄のないかるたスタイルを持つ天才肌。
「勝つこと」にこだわるストイックな性格で、感情を表に出すことが少ない。
かつて大敗した経験があり、それ以来「努力は裏切らない」を信条としている。
花音の成長を認めつつも、「才能だけでは勝てない」と厳しく指導する。

橘陽葵（たちばなひまり）

高校1年生／競技かるた部・中級者／B級選手
花音をかるた部に誘った張本人で、明るくムードメーカー的存在。
誰とでも仲良くなれるが、実は幼い頃からかるたを続けており、安定した実力を持つ。
「楽しくやるのが一番！」というスタンスで花音をサポートするが、内心は全国大会を目指す野心も。

桐生悠馬（きりゅうゆうま）

高校2年生／競技かるた部・副部長／A級選手
クールな眼鏡男子で、分析力が高く、相手の癖を見抜くのが得意。
葵とは幼なじみで、かるたにおいて唯一対等に渡り合える相手。
何かと花音をからかうが、実は彼女の才能にいち早く気づいており、陰ながら支える。

🔥ライバルたち

黒崎玲奈（くろさきれな）

高校1年生／強豪・私立白凰学院のエース／A級選手
天才的なかるたセンスを持つが、他人に興味がなく、「勝つこと」だけを信念としている。
花音のことを最初は眼中にないが、試合を重ねるうちにライバルとして意識し始める。
かつて葵と戦い、辛酸を舐めた過去を持つ。

💙幼なじみ＆恋愛要素

藤崎奏汰（ふじさきかなた）

高校1年生／剣道部のエース
花音の幼なじみで、クールだが花音には甘い。
かるたにハマる花音を最初は呆れて見ていたが、次第に彼女の努力を応援するようになる。
自分の中で花音への気持ちが友情なのか恋なのか、揺れ動いている。

篠宮葵（しのみやあおい）（※再掲）

花音にかるたの厳しさを教えつつ、時折見せる優しさに花音がドキッとすることも。
しかし、本人は恋愛よりも「勝つこと」にしか興味がないように見える。